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壁を壊すこと

ネットを見ていて、ああ・・・と感じる記事があった。
フランス映画、「最強の二人」(Intouchables)
について。

この映画はこちらでも話題になっていた。
こちらで生活する時間が長くなるにつれ、いろんな面が
見えてくる。フランスに住んでいます、と言うと、

「わあ〜、素敵なところに住めていいですね〜」

とにっこりされる方も多い。でも実際は道は犬の糞だらけ、
電車や地下鉄は掃除してないかのごとく、公衆トイレは
のぞくのもコワイ・・・という現実が頭をよぎるので、曖昧
な笑いでごまかしてしまう。

ヨーロッパというと、白人で眼の色が青や緑だったりと
いうイメージが大きいせいか、私自身も黒人の多さに
驚いた。それも、来てみないと分からないこと。
そして、自分自身もアジア人というレッテルを外見で貼ら
れてしまう現実。日本にいれば、アメリカ・ヨーロッパ人を
ひとまとめに「外国人」でくくってしまっているのと同じ
なのだけれど、日本の視点をもったまま海外へ行くと、
現地の人の視点で理解することは難しい。

この記事の「vous(=あなた)」「tu(=きみ、お前)」
の意味合いなど、普通にフランス語を習っているだけ
では分からないことが理解できると思う。
ただ、この映画の一つの場面についての例だということ
も、理解しておいた方がいいかもしれない。
又、生まれ・国籍がフランスでも、アメリカ同様、社会的
な差別が厳然としてあることも。(それは他の有色人種
についても同じ・・ただ、フランス人側のそれぞれの人種
に対するイメージの違いがあるようです)

少し前に日本のドラマを見た時の違和感も思い出した。
中国人と会社が出てくるのだが、日本人の技術者が元
の会社の技術を中国のライバル会社に売って問題になる。
そして、その罪を問われた元会社員が中国の工場へ戻る
シーン。
皆、彼が会社を裏切ったと思っている。激しく怒っている
はずの中国人の工員たちは、彼に冷たい眼を向けるだけ。
そして、彼は謝罪(言い訳?)を始め、その間も工員達は
何も言わず黙って聞き、最後は去ろうとする彼を呼び止め、
教えを乞う。
「ちょっと違うわ、これ」
と思ってしまった。これも、私の勝手なイメージなのかも
しず、確かめるすべもないから何ともいえないけれど、
海外に暮らすことでこちらの人の「表現する」姿を見慣れ、
耳慣れてしまったことで、これは日本人の反応だと感じた。
日本人が考えるリアクションといったらいいかもしれない。
裏切り者だと感じたなら、彼が現れた時点で怒号が飛び
交い、怒っているなら、迷わず彼に向かっていき追い出した
だろう。いくらその前にいろいろと世話になっていたとしても、
それを恩と感じて、罪を許すことはまずないと思う。怒りを
感じたら、それ以前のことはおいといて、絶対にその怒りを
表すはず。

もし、このドラマを見て、この反応が本当の(本当かもしれ
ないけど)リアクションだと学んでしまったとしたら。。。
自分が、または日本人が作る想像の範囲で、頭の中の
イメージを固定してしまったら。。。

「井の中の蛙」と言う言葉があるけれど、本当に、”自分が
無意識に”頭の中に作ってしまっている世界を飛びこえ、
壁を壊すことは、何と難しいことか。
まだまだ死ぬまで分からないことだらけだろうなと思いつつ、
守るべき感情は守り、受け入れるべきところは壁をくずして
でも変える強さがほしい・・・と願う今日このごろ。
by aplusfleurs | 2013-04-05 05:01 | フランス事情 | Comments(0)

フランスでの生活、お花の話を中心に、のはずが、最近は育児日記に;2009年サンクルーへ引越し、2014年3月夫の転職により日本へ。2010年10月フラワーアレンジメントのフランス国家審査員資格合格♪


by aplusfleurs