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始まりは‥‥

昨年より始めた在日の外国人のための日本語教師。
きっかけは、私の空き時間に受けられそうな講座だったから、です。
(他の興味ある講座があれば、そちらだった可能性もあります)
でも、時間はバス送迎にギリギリで、幼稚園だった息子の変則な時間割に
合わせて、月1〜2回は近所の保育園の預かりを利用したり、雨なら直接
園へお迎えでないと間に合わず、結構綱渡り状態でした。

まず、ボランティア、という概念に懐疑的だった私。未だにこの言葉の
持つ多様性に自分が対応しきれていません。活動しているのに、、と
思いますが、やりながら、いろいろ自分の感覚と擦り合わせている感じ
です。
‥‥と言うのも、ボランティアという言葉に含まれる難しさ‥‥善意の
人助け、しかも無料で。当事者の望むことに本当に対応しているのかは
二の次で、その行為自体が神聖だと崇められているような感覚があって。。。
その弊害を取り上げたルポルタージュなども見ていたせいかもしれません。
需要と供給。受ける側とその周りでサポートする方々両方に良かった、と
思っていただけるような活動はその場限りでは難しい。
たった1年講習を受けただけで、本当に教えていいの?(その後少しは知識
も増えたとはいえ)全く自信なし!(と言い切っていたらいけませんが)
でした。

私自身としては、ここ日本で暮らすようになって、夫や子供にも起こるで
あろう日本語の問題などを知ることができるかも?いざという時、自分も
対応できるように日本語能力をアップさせておかねば。。という気持ち
がありました。

そして、何より、在仏の時、特に最後の方で子供が学校へ行ったり、社会
との関わりが出てきた時に、やはり私が通い始めた地域のボランティア
仏語教室で出会った先生と個人レッスンしていただいて、自分の偏った
見方をずいぶん矯正できた、という思いがあります。お世話になった分、
私もまた違う人に返せるのかもしれない。。と。
正直、今だに受講生さんに教えてもらっていることの方が多く、どこまで
日本語へのやる気や生活に役立てる情報を伝えられているのかは??です。

‥‥長くなりましたが、そうやって、ボランティア活動のことをとつとつと
考えていたら、、小学校の頃のことを思い出しました。
 
5、6年の先生は面白くてきっちりした男の先生だったのですが、かなり
厳しいところもあり、、日によってはこわーい先生でした。
引っ越してきたMさんは、全くと言っていいほど話さない。
生粋の日本人ではなかったから、もしかしたら日本語もそれまで習っていな
くて、話せなかったのではと、今ではわかりますが、その時は特に気にせず。
よくお休みがあったり、遅刻したり。何か事情があるのだろうとぼんやり
思っていましたが、その時はそれについて深く考えることはなかったです。
先生は、忘れ物をしたり、何かしなければいけなかったことをしてこない
ことが多いMさんを叱り、時にはほっぺたに平手打ちもありました。
Mさんは何も言わず、ただ手で頬を押さえて、立っていました。その時の
緊張感は忘れられません。

でも、話さないけれど、何となく気にはしていて、修学旅行の写真に一枚、
席に座った彼女の通路側に、彼女に寄り添うような私が写っています。
答えがなくても、近くにいたら、話しかけていた記憶はうっすらあります。

休日、偶然道で会った時、Mさんはたくさんの妹や弟を連れて歩いていました。
全部で少なくとも4、5人はいたような気がします。

「わー、Mさん、すごい!たくさん兄弟いていいなあ〜」

と私が声をかけたら、恥ずかしそうに、でも嬉しそうに微笑んでくれて、
ああ、Mさん笑ってくれた!と私も嬉しかったことも覚えています。
子供心に、叱られても、勉強が分からなくても何も言わずに耐えていた彼女
のことが気にかかっていたのかなあと思います。

今頃になって、ふと、この気持ちが、ボランティアに挑戦しようかなと
思った原点かもしれないなあと感じるようになりました。
今でも”ハーフ”と呼ばれる、うちの息子のような子は小学校にもちらほらで
すが、あの頃は近所では全くと言っていいほど見かけませんでした。
子供は親と社会に挟まれて、自分の立ち位置をどう見つけるか、言葉がまだ
確立されていないのに、親とも言語が違って、友達を作れるほど日本語も
上達していない。先生は一生懸命だったと思うけれど、今の私ならもう少し
何かしてあげられたかもしれない。。。

もう、ウン10年も前のことですが、、Mさんのことは鮮明に覚えています。
どこかで元気にしていてくれますように、そして、私のしていることが
微々たることでも、Mさんのような子供の助けになっているといいなあと
思っています。




by aplusfleurs | 2016-11-17 21:31 | おまけの話 | Comments(0)

フランスでの生活、お花の話を中心に、のはずが、最近は育児日記に;2009年サンクルーへ引越し、2014年3月夫の転職により日本へ。2010年10月フラワーアレンジメントのフランス国家審査員資格合格♪


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