フラワーアレンジメントと生け花(3)

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前回前々回と、フラワーアレンジメントと生け花のおおよその枠の違いに
ついて、私なりに考えてきたことを書きました。
今回は中身について書きたいと思います。

それぞれ、文化。習慣の違いから生まれた形ですが、生けかたや飾りかた、
求められる素材手に入る素材など、料理と同じでそこでしかできない、
ということ以上にどうしようもできないことがあります。
それはその形を作り出す時間=歴史です。

どちらも基本の型があり、それを発展させた型がその時々で現れますが、
生け花のばあい、長く続いた流派だと代々のお家元が考え、改良し、それを
また一般の先生を教える教授によってチェック・再考がほどこされます。
基本の型であっても、時代や流行によっても花材はどんどん変わり、
そのたびに見直しされるわけです。
特に最近はフラワーアレンジメントや現代的なお花やさん、海外のアーティスト
などの情報がちまたにあふれていること、生活様式の変化などで
今の人たちにも見てもらえる、または親しんでもらえる型を考えなくては
いけません。
そういうことから、生け花でも、フラワーアレンジメントと変わらないような
型もどんどんでてきています。
とくに、三大流派の中でもあたらしい草月流のお花は、戦後発展したせいか
ほとんどアレンジメントだと言ってもいいのではないかと思います。
実際フランスの区役所などでよく、生け花の展示会が大・小規模で行われて
いるのをときどき見せてもらいますが、いちばん日本との違いを感じなかった
のは草月流でした。フランス人にも共通する感覚があるように思います。

面白いことに、こちらの人はフラワーアレンジメントより生け花に
興味をもっている人が圧倒的です。
自分たちにはない感覚で目新しく感じるのでしょうね。
それはフランスだけでなく、アメリカなど世界的にZen−ゼン−スタイルが
流行していることからも伺えます。
ゼン(禅)スタイルといっても完全な生け花スタイルというわけではなく、
人それぞれの解釈でいけられていますが、素材を少なくミニマムに・・・
というところが共通しているようです。
こちらの人は華々しいのが好きな人が多いので、その反対をいったところに
新しさがあったということだと思います。

形の違い以上に、生け花には一本いっぽんの花と相対する、哲学的な精神が
あり、私が習っていた流派のえらい先生が、質問にたいして
「花に問うてみなさい」
と言われたというのが象徴的です。
型があっても、一本いっぽんの花は違うのだから、手本のままに生けても
美しくは生けられない、自分で納得のいくまで練習して花の姿だけでなく
出生や特徴まで把握できるようになれば(ならなければ?)、おのずとどう
生ければいいかが分かるだろう、ということだろうと思います。
ほとんど修行の世界です・・・;;

そうやってひとりひとりの集大成を時間とともに練り上げているわけですから、
一人の人間が一生かかっても追いつけない厚みがあります。
それだけに、全部を吸収するのは至難のわざ・・・。
その集大成を突き崩せるほどの才能がなければ、習得することのみで
時間が過ぎてしまいます。。。
ほとんどの芸術はそうだと思いますが、決まりごとを越えるというのは
よほどの才能がある人にしかできないことだと感じさせられます。

フラワーアレンジメントの場合決まった型があっても
先生によってわりと自由にアレンジされてることが多いです。
じっさいDAFAを受験したときも、何にびっくりしたかといえば、人によって
同じ型でもまったく大きさや形が違う作品になっていたことです。
その中で、同じ先生にならった人の花はほとんど同じ、というのが
先生によって違う教えかたをされていることの証明になってました。

同じ学校で同じようにならって先生の資格をとっても、
その後教えられるときに自分の思う美しい形に変えて教えられる先生も
います。そうすると、同じ型でもだんだん変わってきて、最終的には
かなりのずれが出る、ということになります。
日本では、素材や形の大きさ・花材の本数・入れる場所にいたるまで
かなりきびしい制限がもとめられる傾向にあります。

ただアレンジメント・生け花の両方にいえることは、
完成されているものは美しい
ということと、
それぞれの先生によって好みも入れ方も異なる
ということです。
完成されているというのは、たんに決まりごとを守っているということでは
なく、その人の人となりが出ていること、パーソナリティーの表現が
できていることです。きれいに形ができていることに加え、何かひとあじ、
その人の個性が加えられていることが大事です。
先生によって美しさの基準が違う訳ですから、すべての先生がいいと思われる
ように花を入れることは不可能です。自分なりの解釈を常にもっていなければ
先生によって振り回されてしまうことになります。

モニク先生の学校エコール・フランセーズ・デコラシオン・フローラルで
花を習っていたとき、私としてはいいと思った葉の使い方を注意されたことが
ありました。腑に落ちていなさそうな私を見て、そのとき先生としてときどき
教えていた若い見習い生に、
「ayumiがいいと思うなら、それを続けていけばいいのよ」
と言われました。その言葉は心にずっと残っていて、不完全でも
それを矯正するのではなく、完全にするための努力をしなさい、ということ
なのだと肝に命じています。若い才能のある先生でしたが、その後途中で
やめてしまわれ、会うこともなくなりましたが、彼女もそうやって自分の型を
つくりあげていたのではないかと思います。
生徒であってもそして先生になったらなおさら、先生の言われるがままでなく、
自分の中にあるものを発見して引き出し、完成させることが必要です。
生け花でもそうでしょうが、フラワーアレンジメントはその自由の幅が大きい
とはいえると思います。それだけに習う先生によって、自分の中のいい・悪いの
基準が変わるかもしれません。
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Commented by at 2008-06-23 23:44 x
長い歴史の中で磨かれたきたものを突き崩すというのは、かなりの才能がいるなと書道を2年前から始めた私も実感してます。
伝統(技術)を習得した上で、何らかの自分らしさを出したものが出来れば良いと思います。
朝夕美さんはフランスで勉強して今はフランスに住んでらっしゃる位バイタリィティのある方だから、きっとさらに個性的なスゴイものをおつくりになりますよ(^_^)

Commented by もっちゃん at 2008-07-02 12:35 x
ご出産おめでとう!ブログもたまに見てるよ~!それを読んで子育てもまさに花と同じだね。えらい人の話や、子育ての本をどんなに読んでもそこには答えは無いと思います。(参考にはなるけど)子ども本人と向き合いその子の持つ良さや個性を大事に引き伸ばすことが一番だね。四人もいるとみんなバラバラでおもしろいで~あゆみちゃんももう一人二人がんばれ!!フランスの話や花の話はとてもおもしろいです。とても勉強になります。忙しいとは思うけどまた楽しみにしてるね!!
Commented by aplusfleurs at 2008-07-04 14:10
繭さん、コメントありがとうございます!
えらそうなことを書いてますが、まだまだ分からないことだらけです。
資格だけにとらわれないで、という思いがあって、分かることだけでも
と書かせてもらってます。
フランスとは縁がありましたねー。繭さんの言われるように、それを
生かせたらいいのにな、と思ってます。


Commented by aplusfleurs at 2008-07-04 14:43
もっちゃん見てくれてるのー?!コメントありがとう。子育て大先輩のもっちゃんにはいろいろ教えてもらいたいです。でも書いてくれてるように花も子育てもそれぞれで、日本とフランスでも考え方の違いはすごくあるし、振り回されないようにあえて本も読んだりしてないの。
4人のお母さんってほんとスゴイね。今回実感しました。私は当分1人で手一杯だと思います;またコメントでびしびし指摘してください。
実はいま里帰り中です。京都の暑さ、湿気にびっくり。こんなに暑かった
かな?また会いたいけど、なかなか京都にも帰れないやろうね。
by aplusfleurs | 2008-06-16 00:40 | フラワーアレンジメント | Comments(4)

フランスでの生活、お花の話を中心に、のはずが、最近は育児日記に;2009年サンクルーへ引越し、2014年3月夫の転職により日本へ。2010年10月フラワーアレンジメントのフランス国家審査員資格合格♪


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